花かんむり(小説です・長いのでさらっと目を通したい方は他のをどうぞ。。)
首から上だけの女神は白い石膏で出来てありました。私が見つめていたのに気づいた大叔母は、
「それはね、デッサン用なの。あなた、眠るときにこれがあると怖い?どかしましょうか」
と言いました。女神の頭にはドライフラワーの花かんむりが乗せられていて、実は私はそれが気になっていたのです。
「この石膏像はあたしが学生のころ買ったのよ。学生のころ!遥か昔のことだわね?これ、泣いているようにも、笑っているようにもみえるのよね。ではおやすみなさいね。」
大叔母はそう言って寝室から出て行きました。
初めて泊まるこの部屋は本で埋もれていました。大半は海外の推理小説のようです。ここはアトリエではないのに、微かに油絵の具の匂いもします。私はベッドのなかに入って花かんむりの石膏像を眺めていました。眼球のない、悲しそうな、泣いているようなその目は何を見ているのでしょう。
花かんむり。