下北沢は本多劇場まで、志の輔らくご「牡丹燈籠」を観に行ってきました。
35℃を越す日を「猛暑日」というそうですが、こんな言い方昔からあったかなぁ。 ともかく真夏日を含めて数えれば、10日間以上続いているのではないかしらん。 暑いわ。
下北沢の駅を降りたのは初めて。 雑多な感じがなんとも好ましい街です。 私、個人的にはこういう雰囲気は大好き。 下北沢が初めてなんだから、もちろん本多劇場も始めて。 できれば「三谷幸喜」とか、「東京ヴォードヴィルショー」の舞台を観たかった・・・。 ま、それはともかく。
19時5分開演。 おや? ・・・座布団が置いてない。 あれ? 志の輔、浴衣姿で登場。 オープニングトークを浴衣でやるのは、真夏の下北沢で14年やってて、初めて、だそうです。 ふ〜ん。 今年は「志の輔」柄の浴衣を販売しているのだけれど、どうも完売していない様子。
「で、スタッフと協議して、(浴衣の)『賞味期限』を1ヶ月伸ばすことにしました」
場内爆笑。 北海道のお菓子「白い恋人」(だっけ?)のニュースにひっかけたネタだったのね。 それから「朝青龍」の謹慎処分の話しになって、いよいよ「牡丹燈籠」へ。
舞台下手(しもて)から、たくさんの登場人物の名札が出てきて、更に舞台中央から、吊ってある和風のホワイトボードが降りてきました。 これが今回の志の輔の趣向だったんですね。 マクラを語っている時には、腰掛けていた椅子をさげて、これから主に「仇討ち」編の3/4くらいまでを、登場人物の名札を、中央のホワイトボードに貼りながら、相関図を作っていきます。 全部を語れば15時間かかるという「牡丹燈籠」は、当然登場人物も数か多く、こうすることで観客に、より判りやすく粗筋が進んでいきます(もちろん落語風に、くすぐりも入れて)。 特に「牡丹燈籠」は人物間の血縁関係というか、つながりが複雑なので、とても良く判りました。 そして「仇討ち」編の主役とも言える、孝助が、手相見勇斎宅の前である男とハチ合せします。 志の輔がここで、まだ相関図に貼り終えていない、登場人物一覧を指差して。
「ここでハチ合せした男は、実は(貼り終えていない)人物の中のだれかなのです。 さぁ、いったい誰なのでしょう? 休憩は10分間」
と宣言し、オープニングというか、前半が終了しました。 ここまでで、20時1分。
後半、一転して、主任囃子「中の舞」が流れて(多分、生演奏)、志の輔が黒紋付に着替えて、座布団に座ります。
ここからは、一般的に知られている「牡丹燈籠」の怪談編、「お露新三郎」「御札はがし」「栗橋宿」「関口屋のゆすり」を、内容をハショって語りきりました。 事前に「仇討ち」編の説明を聞いているので、「怪談」編の主人公たちより、むしろ脇役が印象に残ります。 心憎い演出。 で、最後にハチ合せの場面になって・・・。
「・・・ようやくここまで来ました。 みなさん覚えてますかぁ?」
残った「仇討ち」編の1/4を語った志の輔はラストまでくると、
「…三遊亭円朝作『牡丹燈籠』はここまで」
と断ってから、自作のエピローグをつけました。
「これは、どうしてもつけたかった」とカーテンコールの時に、志の輔自身が言ったように、ともすればダイジェスト版にありがちな(独自の演出と趣向で薄められていたとはいえ)まとまりのつかない印象を与えかねなかった、今日のこの噺にいい余韻を残したと思います。
…もし今夜、J BOYが横に居たら、このエピローグだけで、きっと彼は泣いた、な。
終演は21時49分、でした。
良い物を観ました。 「牡丹燈籠」全編を、通して観る機会は今後あるとも思えないし、それに今度「怪談」編のどれかを聴く機会ができたとして、全編の話しの流れを知ったことで、よりいっそう楽しむことができると思うからです。
志の輔に感謝、です。