自慢じゃないが、私は方向音痴だ。おまけに、地図も読めない。だから、「109シネマズHAT神戸」への行き方が分からなかった。分かっているのは、最寄駅は阪神電鉄岩屋駅で、普通車しか停車しないということだけだった。春日野道の一つ手前の駅(ということは、三宮の二つ手前)なので、御影で特急から普通に乗り換えなければならないのだ。
……この程度の知識だけで、私は「109シネマズHAT神戸」へ向かった。私はこのような「無鉄砲キャラ」(by沼尻崇)だったのだ。
岩屋駅からどういけばいいのか分からず、片側4車線もある国道43号線(地元民は普通に「43号線」と呼ぶ。並走する国道2号線は、「二国」と呼ばれている)を何度も渡る。「109シネマズHAT神戸」が見付からないのだ!
――この建物じゃないか?――そう思った巨大建造物には片っ端から入ってみた。しかし、「109シネマズHAT神戸」はなかった。
時間が迫っていた。私は大阪梅田18時10分発の姫路行き直通特急に乗り、岩屋には18時45分に到着した。迷わずに行ければ、「109シネマズHAT神戸」へは徒歩8分とのことだ(劇場案内サイトでは)。うろうろしていたので、もう19時1分前だ。
映画版「ねこタクシー」の本日最終上映は19時5分からだ。あと6分しかない。
私はその時、あることに気付いた。神戸市などの政令指定都市では大抵、住所表示をしている。今自分がいるのは神戸市灘区のようであった。目指す「109シネマズHAT神戸」は、神戸市中央区脇浜町にある。
そう、もっと西側に歩けば良いのだ!
まだ時間はある。「大丈夫。そう思っていれば大丈夫。大丈夫じゃないと思うから不安になる」。(by間瀬垣勤)
すぐそこに、「中央区 Chuo Ward」という表示があった。とりあえず、私はそこを目指した。(つづく)

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