「映画「ねこタクシー」応援企画!157:続々猫、介護タクシー事件!――Part58:『暗雲』Q」
ねこ
当時の高校生はアルバイトをあまりしていなかった。特に県下一の進学校である経綸高校では、生徒のアルバイトは校則で禁止されていた。一流大学を目指すのを史上課題としているので、「勉強とクラブ活動にだけ専念するよう」言われていたのである。
だから、人見はなけなしの小遣いをかき集めて、油井恵理菜を駅前ファースト・フード店に連れて行った。彼としては、「接待」のようなものであった。
日曜の昼、食事をごちそうし、そのまま家に帰ろうと思っていた。
人見は当時、服を持っていなかった。学校では制服を着ているし、家に帰ればずっとトレパン・トレシャツで過ごしていた。それが二着しかなく、片方を洗濯している間、もう片方のトレパン・トレシャツを着ていた。これと言って趣味のない、遊び相手のいない人見には、これで充分だった。
それに対し、油井恵理菜は華やかな格好をしていた。今となっては詳しいことは思い出せないが、当時流行していたミニスカートを穿いていたことは覚えている。異様に丈の短いやつだ。すらりと伸びた彼女の両脚が印象的だった。田舎の高校生なのに、薄化粧もしていた。
この後、別の誰かとどこかに行くのだな。――そう思った人見は、ますます早く恵理菜と別れようと思った。(Part59:『暗雲』Rへ、つづく!)
* このブログ小説は完全にフィクションであり、実際の人物・団体・事象とは一切関係ありません。
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