勤務先から一歩外に出ると、夕暮れだった。
色づいた雲を見上げて歩くうち、電車に乗るのがもったいなくなって、一駅先に針路を変える。
歩道橋に上がり、高いビルに上がり、空を見上げる。
およそ30分もさまようと、日が落ちて、夜になった。
もしも電車に乗っていたら、降りる頃には夕暮れは跡形もないところだった。
曇りかけの空のほうが夕焼けは映える。そんな当たり前のことにも気づく。
NHKラジオ第一放送は、一日の最後、日付が変わる直前に、決まって明朝の日の出の時刻を伝える。
札幌から始まって那覇まで、全国の主要都市の名前と時刻が羅列されるのに耳を傾けると、朝が伝播する様が脳裏に浮かぶ。この時期は1時間半以上かかる、長丁場のリレーだ。
夜だってリレーしている。
夏の朝は北から南に伝播し、返す波のように夏の夜は、南から北に伝播する。
朝と夜の境目に郵便物を載せられたらどんなだろうと想像する。
波打ち際のような郵便物の置き場があり、朝の境目と夜の境目が訪れてはさらっていく。
南に住む友人に送るのに、夏は明け便に乗せ、冬は宵便に乗せる。北に向けるなら逆。
お届け時間は夏至と冬至に最大になり、春分と秋分に最小になる。
ただし、境目がまったく同じタイミングで訪れる地点同士だと、小包をさらった波が戻ってくる時に届けていくので、約半日のタイムラグが生まれる。

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