朝から晴れて、空気はからからに乾いている。よくのどが渇き、午前中だけでポット2杯分のお茶を飲む。
一日だらだら過ごすところだったが、ちょっと近所に買い物に出たら天気があまりにもよかったので、布団を取り込んで出かけることにする。
水のあるところに行きたかったので、目的地を浜松町の旧芝離宮恩賜庭園に設定する。
入ると、菊の展覧会の最中だった。小規模ながら、菊の寄せ植え、小盆栽、大輪の菊の鉢
などがならんでいる。
思いついて、匂いをかいで見る。どれも基本的に菊の香りだが、種類によって匂いがあまりしないものもあれば、妙にスパイシーな匂いのものもある。匂いがこうも違うと走らなかった、今日の発見。
大名庭園にしては小ぶりの庭を、小一時間かけてぶらぶらと回る。中ノ島では園丁たちが雪吊りの準備をしていた。大泉水の周囲には、すでに雪吊りの済んだ松が何本もある。園丁の立ち働くところが見えるベンチを確保し、しばらく見物する。
庭園を出て、竹芝ふ頭に足を向ける。水なら真水でも海水でも問題ではないのだ。
デッキをぶらぶらする。空いたベンチに座って空を仰ぐ。
風は冷たいが、日差しは暖かい。
風に注意を向ければ寒いが、半身に当たる日差しに向ければ暖かい。
暖かい方を意識して、光合成と決め込んだ。
休日だからか、時々屋形船や遊覧船が通るだけで大変静かだ。
空に浮いた雲は下側に陰影がついて、黒井健の絵のような風合いを帯びている。
デッキから降りる「階段塔」なるものの名前の響きにどきどきし、東京の島々の名産品を売る店をのぞく。ここから出る船は主にこれらの島々に向かうのだ。なのにどうしてここで売るのか、やや意味不明でもある。
帰りの電車の中で鼻水が出る。
すわ、インフルエンザかと危機を覚えるが、自身の行動を思い返して冷静になる。
薄着でふらふら歩き回っていれば、鼻風邪くらいは貰ってきて当然だ。
風邪薬を飲んで、野菜スープを作る。
ベランダに出ると、くっきりと素晴らしく冴えた月が出ていた。
完全な円ではないが、かなり円い。
戻って調べる。旧暦九月の十七夜、居待ち月だった。

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