2010/8/17 | 投稿者: ghost

<フィジャック・サン=ソヴール教会の副祭壇>
ユダとは誰か(副題:原始キリスト教と『ユダの福音書』の中のユダ,荒井献著,2007年岩波書店)を読了。先に『原典ユダの福音書』を読んだ折、「ユダの福音書」に対して“出来の悪い二次創作”的な感想を抱いたのだが、それは「ユダの福音書」が悪いのではなく、ボクがアホだからわからないだけ、という可能性もあるので、筋目正しい研究者の本に学ぼうと読んだ一冊である。

と言っても、著者は本書において、何か特別な結論を示しているわけではない。むしろ、純粋な信仰者からボクのような市井の好事家も含めて、銘々の読者がそれぞれのユダ観を育めるような素材を、綿密な文献批評から与えてくれている、というべきであろう。であれば、ボクなりの稚拙な感想を述べることも神罰には値すまい。