2013/1/18 | 投稿者: ghost

この世界がこうであって欲しいと願う先験的な体系があって、それに説得力を与えるべく語られる歴史に託された物語を「神話」と呼ぶのであれば、本書はまさに神話なのではないか、と剣呑な感想を抱いた。

クリックすると元のサイズで表示します年末年始にかけての暇潰しに、何を今更で文庫版の方の『銃・病原菌・鉄』(ジャレド=ダイアモンド著,倉骨彰訳/2012年,草思社)を読んだ。で、冒頭に書いたような感想を抱いたのだが、もちろんこれは、無根拠な世迷いごとである、という意味で「神話」と言っているのではなく、上に書いた通り、著者であるダイアモンド博士が、切にこうであって欲しいと願う世界(それが真であるかどうかはこの際どうでもいいし、それに関心を持つべきではない)に血肉を与えるべく綴られた物語である、という意味で「神話」なのである。そして、あらゆる神話がそうであるように、本書もまた、諸刃の剣の性格を有する危うい神話であるとも思ったのだった。

思い切って換骨奪胎してしまえば、本書は簡潔な以下の命題に要約できる。つまり、人類社会の勢力分布が今そうであるようになった究極の原因は、現在優勢である人々がたまたま東西に広い陸塊で文明をスタートさせたからである、ただこれだけだ。具体的にそれがどういうことなのか、については、本書を読んでもらった方が早い。いや、結構な大著なので早くはないかも知れないが、博士には失礼ながら、くどくどと偏執的なまでに同じような主張を、手を変え品を変え繰り返す本なので、ほんの一章ほど通読すれば、著者が真に言いたいことはすぐにわかる、と思う。

それに自身の読書体験を通して至りたい人は、本書を読んだ後に以下へ進んでいただきたい。

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