既に昨日の話となるが、
先に触れた宝塚南口寄席特別企画『試3』を観てきた。

講評、などという大袈裟なものでは決してないのだが、ちょっといろいろと良い意味で考えさせられたので書き遺しておこうと思う。特に何か結論があるわけでもないのだが。
まず最初に、文句なくとても面白かった、と言っておきたい。前回の
『試2』に比して登壇者の学生比率が高かった(とは言え、多くは学生落語の大会入賞歴を有する強者たちである)こともあり、全体的にフレッシュな印象であった点は否めない。むしろ、主催者である銀杏亭魚折くん自身が“蠱毒”と称したほどに一騎当千の猛者たちが競い合った前回の濃ゆさを思えば、魚折くんの胸を借りて腕試しに挑んだ若武者の清々しさが心地好かった、と総評したい。
さて、ご本人が
来場者特典のつもりで書いたのでネットにはアップしないでくださいと書いているものに言及するのはいささか気が引けなくもないのであるが、これに触れないと今から書こうと思っている話の前提がわからなくなるし、上引用に続く
そんな暇人いねえよな?との彼の言葉は“誘い受け”のように思えなくもないので、好き勝手に進めることにする。
実はボク自身が数日前に同じ記事を読んで「なんじゃこりゃ」と思っていたので話が早かったのであるが、高橋某なる自称弁護士が書いたとされる
『一人で全部を演じる「落語」は本当に面白いのか?』という文章があって、今回の試3の開演に先立ち『一人で全部を演じる「落語」は本当に面白いのだ』と題された銀杏亭魚折くんの署名が添えられた文書が会場で配布されたのである。表題を見ればわかるように、これは高橋某に対する反論になっている。
高橋某の論は稚拙で要約する必要も感じない。読みたい人は上リンク先を参照されたい。対して魚折くんの反論(というワケでもないのだろうが)は、繰り返すがご本人が
ネットにはアップしないでくださいと書いているので詳しくは触れないが、落語誕生の歴史と演者としてのご自身の経験を踏まえ、高橋某が求めた「一人で落語を演じることの客にとってのメリット」に答える内容になっている。
ボク個人の見解としては、そもそも両者の言う“メリット”なるものの有無を議論する必要を感じないので、高橋某は注目欲しさに下らない煽り文を書いているなぁ、としか思わないし、魚折くんに対しては真面目、というか熱いなぁ、と思うのであるが、この議論の軍配などはどうでもよくて、こういう議論の存在を事前に示された上で本公演を観たがために、結果的に、ただ笑わせてもらえればそれで良かったものを(良い意味で)余計なことを考えさせられた、というのが、本稿の言いたいところになる。