昨晩は、ビデオにとってあったNHKの「放送記念日特集」
第一夜の「テレビとネット アメリカ最前線リポート」と、
第二夜の「徹底討論 テレビは誰のものか」を4時間かけて一気に見た。
一方、「春の新聞週間」(4月6日〜)を記念して、
3月24日の日経には「メディアに関する本社世論調査」が掲載されていた。
インターネットで調べてみると、放送記念日は3月25日で、
1925年のこの日に、NHKが日本初のラジオの仮放送を始めたとか。
新聞週間は春と秋にあり、各新聞社が特集を組むだけでなく、
新聞協会が様々な行事を行うようだが、時期の由来は不明。
ちなみに秋の新聞週間は10月15日〜で、10月20日は新聞広告の日、
期間中の日曜日は新聞配達の日に決められているらしい。
ついでに雑誌の日で検索してみると、雑誌広告の日というものが
あるらしいことが判明した。インターネットの日はないのか?
それはさておき、最近では、インターネットの普及や、
伝統的メディアに纏わる問題が噴出する中で
(インターネットに纏わる問題も噴出しているが)、
こうしたメディア論が俄かにかまびすしくなってきた。
3月22日号の雑誌「Newsweek」の特集も「ネットはテレビを殺すのか
放送と通信の融合で始まったメディア新時代」というもので、
過激なタイトルに引かれて思わず購入してしまった。
雑誌を発行する身だけに、こうしたメディア論は気になる。
この手の報道を見てつくづく思うのは、
テレビとか新聞とかインターネットとかいう情報の器自体の
議論に終始しているケースが多く、中身の議論が後回しになったり、
あるいは、曖昧なままで置き去りにされがちだということだ。
例えば前出の日経の調査では、「最も信頼度が高いと思うメディア」
について聞いているが、回答の選択肢は「一般の新聞」「NHKテレビ」
「民放テレビ」「インターネットなど電子媒体」「スポーツ新聞」
「ラジオ」「週刊誌」「月刊誌」など情報の器ごと。
結果については、「一般の新聞」が47%と圧倒的で、
2位は「NHKテレビ」の33%、上位2つで全体の8割に達し、
他の媒体を大きく引き離したと記されている。
ちなみに3位は「民放テレビ」で7%、
4位は「インターネットなど電子媒体」で4%だ。
あくまでもメディアに関する調査だからとか、
新聞週間なんだからとか言われればそれまでかもしれないが、
信頼できるかできないかは個々の媒体の中身の問題であり、
インターネットだって信頼できるサイトもあれば、
新聞だって信頼できないものもある。
それを情報の器ごとに聞いたところで、
果たしてどんな意味があるのかと思うのは私だけか。
インターネットなんて信頼できないから、新聞をとりましょうね、
とこっそり主張しているような気さえした。
ましてや、弊社が発行する「月刊誌」なんて0%だ。
雑誌で悪かったね〜という感じである。
一方、昨晩見たNHKの番組では、参加者の1人の大学教授が、
USENのGYAOが視聴者の属性に基づく広告配信を行うことについて、
広告収入モデルの媒体社がこのような仕組みで運営されると、
番組の差別性が失われ、陳腐化が進むといったことを発言していた。
換言すれば、アクセスログを含む視聴者の個人情報を交えて、
視聴率競争がますます精緻化すると同時に加速度を増すということだ。
この大学教授は、CRMやダイレクトマーケティングが嫌いなのだろうが、
視聴者の情報を収集することで、良い番組作りや、
適切な広告配信が可能になるという側面だって当然ある。
確かに視聴者がその時々の気分や時間経過に伴い変化する以上、
最大公約数ばかりを追いかけていては番組は陳腐化しかねないが、
そこでいかに独自の視点を加えて新たな番組作りができるかが、
放送にせよ通信にせよ、そして新聞にせよ雑誌にせよネットにせよ、
重要であるに違いない。そしてそれこそが、中身であり、
視聴者や読者の媒体への信頼の拠りどころなのだと思う。