伊香保ケーブル鉄道跡踏破地図

伊香保ケーブル鉄道。
伊香保温泉からヤセオネ峠を登るケーブルカーで新伊香保駅から榛名山駅間、路線延長2キロの鉄道。1929年9月6日に開業。
太平洋戦争により1944年に休止。
戦後1961年に運行を再開したが、平行して有料道路が出来たことが致命的となり1966年12月19日廃止された。
伊香保石段街バス停付近から新伊香保駅方向を見る。

白いガードレールの向こう側付近が新伊香保駅跡か。
旅館(大江戸温泉物語)

新伊香保駅を出たケーブル鉄道は、写真の大江戸温泉物語の建物裏付近でトンネルに入ります。
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残念ながら入り口は閉ざされています。
トンネル上部には〈洞天通〉の文字が。どんな意味なのだろう。
ちなみにこのトンネル、大江戸温泉物語の客室からも見えるそうです。
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トンネルが通過出来ないため獣道を辿りながら、トンネル上部付近まで行くと広場が現れた。
この写真の方向にトンネルが続いているものと思われます。

広場の端まで来ると階段が現れたので下に降りてみる。
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トンネル反対側の出口。

上部が少しだけ空いていたので中を覗くとレールは撤去されていますが、保存状態はたいへん良いようです。
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上記トンネルの反対側には路盤跡が残っていた。
右側の建物は給水設備。

落ち葉が積もってはいるが路盤の状態もよく、非常に歩きやすい。

両側に法面を施された掘割部分に出た。
路面のコンクリートは廃線後に施されたものか。
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コンクリート舗装の路盤を登ると、二股に見える広場に出た。
法面が施されていることから、左側の急な上り坂が路盤跡と思われる。
路盤跡は半分ほど崩壊しているためこのまま直進し、路盤跡の下側に出てみることにする。
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この先は橋梁が続いていた区間のようで、多くの橋台が残っていました。
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橋梁部分の痕跡が全くないということは、崩落の危険のため撤去されたのでしょうか?
まあ、橋台だけでもこれだけ現存されているのは大変ありがたいことです。
信号ケーブルなどを架装していたであろう鉄柱も現存しています。
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最上部の橋台。
細長いパイプは下部の給水設備からのものか?

可能な限り路盤跡を踏破するべく、この橋台の上に登らないといけないのだが。。

反対側に回り込み、何とか足が掛かりそうな場所を探す。
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順調に登って行けそうな路盤跡にたどり着いた。
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少し進むと車道の下をくぐるが、実はこれも廃橋。
廃橋と平行して山側に現行の林道が走っています。
そもそも今回の廃線跡が気になったきっかけが、ここから見た廃橋でした。

普通の道路脇にこんな感じに遺物があれば、そりゃマニアは気になりますよね。
久々に現世に戻り少し安心したところで、水分とカロリー補給。
この廃橋と林道の下に廃線跡が存在するはずなのだが痕跡確認できず。
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廃橋から林道を東側に数十メートル進んだ付近に獣道が現れた。
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獣道を辿って行くと、枕木廃材で仕切られた場所を発見。
しかし、草に覆い隠され路盤跡が確認出来ないため、枕木の反対側へ出てみる。
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反対側は緩やかな下り坂になっていて、そこから見て初めて路盤跡だったことが確認出来た。

アルミ製スクリューキャップのペットボトル。
ガラス瓶からペットボトルへの過渡期にあたる頃のボトルか。
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ほぼ終盤に差し掛かってきました。
この辺りの路盤は電話線などのインフラ用地として使われています。

遺構らしきものが見つからない中で足下を見ると、レールを固定していたボルトやナット類がちらほらと落ちていました。
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ガードレールが見える林道の下を廃線跡が走っていたものと思われますが、ここから林道の向こう側にかけて薮が生い茂っており、路盤跡の確認出来ず。
路盤跡の踏破はここで終了し、ガードレールのある林道へと上がる。
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今回はiPhone5Sに国土地理院の地形図とDIYGPSというアプリを使用してみました。
iPhone4Sと違い、ほんの数メートル移動しただけでも現在位置を正確にトレースし、山歩きにも充分耐えうる性能を実感しました。
しかし防水でないのとバッテリー消費が激しいため、補助的な使用に止めた方が良いでしょう。

榛名山駅があったと思われる場所。
現在は、墨田区立榛名高原学園という宿泊施設が建っていますが火災により閉鎖されている模様。
ケーブル鉄道跡の痕跡らしきものは全く見当たらず、雨足も強くなってきたのでここで探索終了。
伊香保温泉街まで戻り、帰りのバスの時間まで日帰り温泉で雨で冷えた体を温める。

日帰り温泉旅館から伊香保石段街バス停に戻る途中に「いかほ駅」を発見しました。
高崎駅前から「東武伊香保軌道線」という路面電車が1956年(昭和31年)まで存在したようです。
路面電車やケーブル鉄道が次々に廃線になってしまい、寂しい限りです。

伊香保温泉を後にする頃、本格的に雨が降ってきた。
伊香保石段街18時59分発の上州ゆめぐり18号で東京に戻ります。
今回は写真点数が30枚にもなり、コメント入力に時間がかかってしまいました。
写真が少ないと状況がうまく伝わらないし、多すぎるとクドくなるしで写真の選定は毎回の悩みどころです。。。

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