2008/5/31  23:54 | 投稿者: 時鳥

庭園美術館で「オールドノリタケと懐かしの洋食器」展を見る。
明治から昭和戦前までの日本洋食器を、時代順に約200点展示している。
最初は欧米への輸出用陶磁器にはじまり、だんだんに国内用の作品も増えてくる。
洋食器なのに日本的なものが混じった、いわゆる「和洋融合」のデザインなのだけど、
和洋融合、と一口に言っても様々なスタンスがあって面白い。

生まれてこの方、日本の生活に即した陶磁器しか知らない人が作ったらしい作品は、
いかにも日本的な意匠と文様で、器の形だけが洋食器をなぞっている。
別の人は、西洋人の作る洋食器に出来るだけ近づいた作品を作ろうとするし、
また別の人は、西洋の意匠の中に日本のそれと通じる何かを見つけて、うまいこと
紛れ込ませようとする。
西洋の考える日本を、日本人が精一杯想像して描いた、所属不明の日本趣味もあれば、
時代が下って、西洋風の洋食器を作り慣れた日本人が、洋食器に日本のテイストを
盛り込もうと苦心する作品もある。
自分の作品を作ろうとして、表現方法として洋食器を選んだらしい人もいる。
融合どころか、反発だの混乱だのジレンマだのアンビヴァレンスだのを大量に抱え込んでいる。

個々の作り手の来歴や立ち位置、考え方、時代の流れや需要や流行り廃り、
会社としての姿勢、現場の技術力、調達可能な原料、想定する購入者。
ありとあらゆる条件が複雑に絡み合い、多種多様な作品が誕生する。
作品はどれも試作品めいていて、だからたくさんの可能性の芽を持っている。
可能性はどれも小さいから、到着する先をはっきりとは教えてくれない。
その様子は、闇に包まれた深い廊下をほんの2歩先だけ照らす、頼りない灯火によく似ている。
どこへ連れて行こうとしているのか問い掛けても、明確な答えは得られない。
おそらくは作っている側も、自分がどこへ行こうとしているのか、どこへ行きたいのか、
はっきりとは分かっていないのだろう。
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2008/5/31  23:05 | 投稿者: 時鳥

朝食が早すぎて軽すぎて、11時を前にして空腹を抱えていた。
「朝定食」の言葉に引かれるようにしてSガストに入る。
通常のガストではなく、クイックレストランの方。

朝定食290円。
献立は以下の5品目。

・ごはん
小さめのプラスチックの茶碗に入って出てきた。
私にはちょうどいいが、量が少なめだと思う。
茶碗に入ったひびと欠けた縁が、そこはかとない侘しさをかもし出している。

・味噌汁
具材はわかめ。小口切りの浅葱が少々混じっている。

・浅漬け
白菜がメインで柚子風味。小鉢にそこそこの量が来る。

・温泉卵
卵と納豆のどちらにするか尋ねられたので、まるっきり生卵のつもりで
「卵」と回答すると、温泉卵が出てきて虚を突かれる。
醤油をたらし、ざっと混ぜてご飯にかける。
半固形とご飯の相性が新しい。生卵の白身が苦手な人にはいいかも。

・海苔
味なし海苔。大抵は味付き海苔が出てくるので、ちょっと珍しい。
袋入りの海苔が乗っていた皿が、このトレイで唯一の「割れる皿」だった。
他は全部プラスチック製の食器。だから不満があるわけでもないけど。

個人的には、ちょうどいい量だった。でも男性には少ないだろう。
味は今ひとつ。何となく、やる気が感じられない。
これだったら、なか卯の豚汁朝食かやよい軒の納豆朝食の方が、ずっと好みに合う。
もっとも、「朝定食」はガストの朝食メニューの中でも一番下の基礎メニューだったので、
焼き鮭付きとか竜田揚げ付きとかの豪華な朝定食にすれば、また感想も変わってくるのかもしれない。
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2008/5/30  22:02 | 投稿者: 時鳥

首都圏の路線図を見ていた。
品川と田端の間が、新宿と立川よりも離れているように見える。
実際の地理を知っている人間には信じがたい距離感だ。

この図を作ったのはどんな人だろうと、想像する。
なまじ土地鑑があると、こうも大胆なデフォルメはできないんじゃないだろうか。
地理を無視して、所要時間も無視して、駅と駅、路線と路線の位置関係しか
目に入れないようにしないと、こんな凄い図は多分、描けない。
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2008/5/29  23:54 | 投稿者: 時鳥

出光美術館で「柿右衛門と鍋島‐肥前磁器の精華」展を見る。
民間から興った柿右衛門、藩から興った鍋島、ほぼ同時期に同じ地方で興った2種類の磁器と、
少し時代を下った古伊万里(金襴手)を展示している。

鷹揚で簡明な鍋島と、鋭利で簡潔な柿右衛門の対比が面白い。
どちらも洗練を極めて、他の誰にも似ない領域に足を踏み入れているんだけど、
そこに至るまでの手法が全然違う。
やすりで角を丸めるように余分なものを落として、直線をほどよい曲線にするのが鍋島なら、
薄い剃刀で削ぐようにして落として、曲線を直線に、面を線にするのが柿右衛門。
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2008/5/28  22:55 | 投稿者: 時鳥

ちょうど仕事が一段落ついた。
有給休暇もたまっている。
来月は何日か休みを取ろうと決意する。
6月の休暇。
5月がゴールデンだから、6月はレインボーだろうか。

当初は虹の七色にちなんで7日連続で休もうかとも考えたが、
旅行に行くわけでもないので、連続休暇よりは飛石休暇のほうが喜ばしい。
けれど、飛石にするとなると、休日を選ぶ基準が見つけにくい。
決めあぐねてカレンダーを睨んだ。
ひらめいた。
3、11、19、27日で休暇申請を提出する。
いぶかしげな相手にカレンダーを見せながら、カレンダー上にできる虹について
懇々と説明し、破顔と承諾を得る。
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2008/5/28  22:07 | 投稿者: 時鳥

朝、勤務先近くの自動販売機でマックスコーヒーを購入する。
噂ばかりはかまびすしいが、思えば一度も飲んだことがなかった。
原材料は、加糖練乳、砂糖、コーヒー、カラメル色素、香料、乳化剤。
缶には本当にこの順番で印字されている。
もちろん、分類は「コーヒー」ではなく「コーヒー飲料」だ。

机の上にマグカップとマックスコーヒーを並べ、背筋を伸ばす。
プルトップを起こして、マグカップに少量注ぐ。おそるおそる飲む。
・・・後味がコーヒー。
口に含むと、まず甘い。次に甘い。更に甘い。それでも甘い。まだ甘い。
食道の奥に消えてしばらく経ってから、
「今飲んだのは、言われてみればコーヒーのような気がする」と、ぼんやり思う。
それくらいの甘さ。

インスタントコーヒーを横に置いていたのは、大正解だった。
原液ではとても飲みきれそうにない。
無糖のインスタントコーヒー液3に対し、マックスコーヒー1でようやく
普通の缶コーヒーの甘さになった。
それでもまだ甘く、途中で渋いものが欲しくなる。

これは飲み物ではなく、ハーシーのチョコレートシロップとかカルピスの原液とかの
仲間ではないかと疑う。
果物を漬け込んだら保存食が出来そうだし、かき氷にかけたら美味しそうだ。
卵と混ぜてフレンチトーストにしても別の美味しさがあるかもしれない。
原液で飲むより、何かで割りたい。でも、酒で割るのは嫌だ。必ず悪酔いする。
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2008/5/27  22:34 | 投稿者: 時鳥

中高時代、ノートを取るのが苦手だった。

説明されている内容を理解してから、必要なだけノートを取ろうとする。
得意な科目は経緯が理解できているから、途中経過を丸ごとすっ飛ばした
要点だけのノートになった。
苦手な科目を真面目に聴いている時は、話を聞いて、理解したことをまとめつつ、
手を動かしてノートを取ろうとすると、話が勝手に先に進む。だから何かを書き落とした。
結局、一番教師が満足しそうなノートが取れたのは、不得意な科目を聞き流して、
板書だけせっせと写していた時だった。
今思うと大変に不思議で、逆説的な話だと思う。
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2008/5/26  22:27 | 投稿者: 時鳥

勤めを終えて外に出ると、まだ空が明るい。
初夏の夕暮れ。空はほどよく晴れ、風もいい。
風に吹かれて空を見上げて駅まで歩いて、前から乗ってみたかった蒲田の観覧車に乗ってみようと決める。

蒲田で電車を降りて改札口を抜ければ、ほんの10メートル先に東急プラザの2階の入口がある。
エレベーターで屋上に直行する。降りたのは、私一人だった。
何十年も前からある、昔ながらの屋上遊園地。
人気の少ない屋上の一番奥に、スズラン型のゴンドラが9つだけ付いた小さな小さな観覧車がある。
チケット売場の窓口は空っぽで、のぞき込むと少し離れた所から係員が小走りでやってきた。
200円払うと、チケットを2枚切ってくれた。
チケット売場のすぐ横が観覧車の入口だ。
急いで出てきた同じ係員にチケットを丸ごと渡す。
私の手にチケットがあったのは、ほんの20秒ぐらいのことだったろう。

開けてくれた扉から黄色いゴンドラに乗り込む。
一周およそ3分半。
繁華な町ではないし、それほど高くも上らないから、たいした眺めは望めない。
足元は何てことのない町並み、遠くに新宿や横浜という、東京のちょっと高いところなら
どこでも見えそうなありふれた風景が広がっていた。
でも、静かにはしゃぐ。

降りてからも妙に機嫌がよく、ベンチに座ってしばらく風を浴びる。
日光浴や月光浴に近い。言ってみれば、夕風浴。
髪ゴムでまとめた根元がきついが、ばらしてみると邪魔臭い。
考えつつ、しばし玩んで、いつもは5回巻く髪ゴムを2回だけ巻いて、ヘアピンは上着の縁に留めた。
やがてぶらぶらと歩きはじめる。
歩くと滑り落ちそうになるので、巻きを3回に増やした。
空はまだ暗くなりきらない。
夜が塗り残したように、雲の縁が一部分だけほの明るい。
雲間高くに赤い星が光っている。

満足して、きっかけを待たずに立ち上がって屋内への扉を開ける。
階段を2フロア下りる間に、髪ゴムを5回ゆるみなく巻いて、ヘアピンを左右に留めつけた。
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2008/5/26  0:20 | 投稿者: 時鳥

図書館で『もう一度読みたい国語教科書』を偶々手にし、
目次を眺めていると大井三重子「めもあある美術館」のタイトルが見つかった。
大井三重子といえば仁木悦子の本名で、児童文学者としての筆名でもある。
仁木悦子はミステリを書く前に大量の童話を書いていたというが、
作品を読んだことはなかった。
いい機会なので、ここだけ拾い読む。

自分の人生の、印象深い場面が絵になってかかっている美術館という設定が魅力的。
記憶はいつもランダムに絵を取り出すから、思い出すべき時に思い出せなかったり、
思い出しちゃいけない時に思い出して、しかも別の絵に移れなかったりすることがよくある。
こうしてきちんと時系列で冷静に並んでいる場があれば助かる。
ストレートな話だけど、後味はいい。
でも、昭和40年代ならともかく、今やこんな素直な小学校高学年は日本にいないので、
教科書に載せるのは難しいかもしれない。

昭和42年から50年にかけて、『新しい国語 六年』(東京書籍)に掲載されていたそうだ。
作品としての初出は昭和36年1月、日本児童文学新年号。

書誌:「めもあある美術館」大井三重子『もう一度読みたい国語教科書』(ぶんか社)収録
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2008/5/25  1:14 | 投稿者: 時鳥

バス車内で財布を落とした。
カード類を止めて、交番に届けて、定期券の再発行交渉をして、
6時間後に見つかったとの連絡が届いた。西武バスさん、ありがとう。
電話で尋ねた通りに夜のバスに終点まで乗って、どうにか取り戻して中身を確認する。
現金およびクレジット、キャッシュ、図書館貸出カードのいずれも、欠けた様子はない。
ほっとしたのか、帰りのバスでは両替のコイン投入口と間違えて料金箱に500円玉を投入し、
運転手さんからすべて10円玉で、20数枚のお釣りを受取る。
移動量もさることながら、精神的に大変疲れた。

さて、交番で遺失物届を書いたときのこと。
届けを受取った担当者が、机の上にある電話の受話器を手に取っては、
しばらく耳を傾けてまた戻すといった動作を何回も繰り返す。
あまり直視しないようにしながら様子を探っていると、やがて、電話がつながった。
どうも、書類の右肩に記入する番号を取得しようとしていたらしい。
連番が人力発行なのに新鮮な驚きを覚え、電話が排他制御の役割を果たしていることに
内心でうなる。
電話線を確保した者がロックを取得し、電話先がシーケンスを握って、新しい連番を発行する。
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2008/5/24  12:34 | 投稿者: 時鳥

「みんなと同じでなきゃ幸せになれない」は勿論大嘘だけど、
「非属の才能を頼みにして生きれば幸せになれる」も嘘だと思う。
「こんな世の中はおかしい」とか「どこにも属せない」っていう、
自分の中の違和感は違和感として自覚する必要はあるけど、
それを人生のどのレベルまで行使するかはその人次第だろう。
別に、スワヒリ語と日本語のバイリンガルだからといって、
通訳か翻訳者にならなきゃいけないってわけじゃない。

著者は非属の才能を飯の種レベルまで行使している人で、
エピソードに出てくる人もそのレベルの人が多い。
だから、群れを離れて非属の才能で食っていくこと、前人未到の何かを成し遂げること、
社会的に認められることに非常な価値があるような書き方になっているけど、
私は、普通に学校に通って、平凡に会社勤めして、かつ非属でいることは十分に可能だし、
価値あることだとも思う。
私自身は生活する上では、また、一身上に収まる範囲では容赦なく行使するけど、
職業には持ち込まない。つまり、他人に認められたいとは思わない。

幸せに生きるために絶対に必要なのは「自分が認める」までで、
「他人に認められる」はオプションでしかないんじゃないだろうか。
結局は、本人さえ幸せになれればいいんで、非属であることの自覚さえ済ませてしまえば、
どこまで属さず、どこまで属すかは本人の判断で決めるべきことだと思う。

書誌:『非属の才能』山田玲司/光文社新書/2007年
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2008/5/24  1:26 | 投稿者: 時鳥

女生徒の制服として、スラックスを選択可能にする学校が最近、少しずつ増えているのだそうだ。
この流れを支持する人は理由のひとつとして、女生徒の痴漢被害の減少を挙げていた。

ごもっとも、と頷く傍ら、おかしな考えが頭に浮かぶ。
ついでに男子生徒のスカートも選択可能にすれば、より効果的ではないだろうか。
直感が先行し、理屈が追いつくまでしばらくかかった。

追いついた理屈の言い分では、こういうことらしい。
スカートを履いた女子高生に格別の興味を示す人がいるとする。
女子高生はスラックスを履けば、この興味の対象から逃れられる。
けれど、同じ女子高生が趣味その他の理由からスカートを履くと、たちまち対象に戻ってしまう。
この現象はおそらく、興味の持ち主が「スカート」に特別な価値を感じているがために発生する。
なら、スカートの価値を下落させれば、何かが快方に向かうのではないだろうか。

スカートの価値は色々にあるが、何より大きいのは女性専用という点にあると思う。
スカートを目当てに視線なり手なりを伸ばせば、必ず女性の下半身に行き当たる。
しかしもし、スカートの制服を男子高生も履く可能性があるなら、話は別だ。
間違えて男子高生のスカートに手を突っ込むかもしれないと思えば、
人ごみの中でスカート目当てに伸ばす手も、階段の下から見上げる視線も
鈍りがちになるかもしれない。

とはいえ、女子高生の痴漢被害を軽減するために、男子高生がこうも多大な精神的負担を
負わされるのはどう考えても割に合わない。
だから、男子生徒の制服をスカートに限定するのは絶対に無理だろうし、
選択制にしても選ぶ生徒はまったくと言っていいほどにいないだろう。
実現したら面白い案だけど、可能性は限りなく低い。
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2008/5/23  7:45 | 投稿者: 時鳥

そういえば、算数は文章題が一番得意だった、と思い出す。
文章からシチュエーションを考えて、数式に当てはめるのは嫌いではなかった。
もしかしたらその延長線上で職業を選んだのかもしれない。今さらに思い当たる。

小学校低学年の頃、母親だか誰だかに「読解力がある」と言われて、
「読解力」が何かわからなかった記憶がある。
そういうわけで、コミュニケーション能力はともかく、国語の文章題は徹頭徹尾
何の苦もなく解けたのだけど、高校時代に模試で出会った論説文だけは
今思い出しても訳のわからん文章が多かった。
抽象語を多用した長い文章の一部分だけをぽかんと切り取ってきて出題するものだから、
文脈をつかむだけで手間取る。その上、構文が単純さを欠いている。
高校生の頃だから、現在と比べれば多少未熟だったかもしれない。
けれど、平均的な社会人と比べて、それほど読解力に開きがあったとは思えない。
ってことはあれは、世間一般から見ても難解で、意味の取りにくい文章だったんだろう。
高校の教科書でも高校入試でも、あんなにわかりにくい文章はそうそうなかった。

高校入試の論説文は、著者の言わんとすることを100%汲んだ回答が求められる。
けれど大学入試の論説文はひょっとしたら、著者が書いていないことまで、
120%を汲むことを求められているのかもしれない。
一読して、すっと意味が頭に入ってくる文章よりも、3回ぐらい読み返さないと
真意がつかめない文章が、むしろ喜んで取り上げられていた印象がある。

それにしてもこれらの文章の著者って、「難関私大の論説文問題としてあなたの文章を
使わせてください」と言われて、本当に嬉しいものなんだろうか。
「受験テクニックを十二分に身につけた優秀な学生にさえ容易には読み解けない、
難解で意味のわかりにくい文章」って言われたも同然の気がしなくもないんだけど。
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2008/5/23  0:40 | 投稿者: 時鳥

「情報ダイエット」という語を目にして、引っ掛かりを覚えた。
自身に引き寄せて考えると、身のまわりからテレビやら新聞やらを無くした結果、
確かに、以前と比べても、世間一般と比べても、入ってくる情報は格段に少なくなった。
時事ネタや流行り物には以前に輪をかけてとことん疎い。
でも、それでも、情報ダイエットをしたという意識はどうしても持てない。
受取る情報量は減っても、処理する情報量は全然減っていないと思うからだ。

『ヴァーチャル・ガール』(エイミー・トムスン)というアメリカのSF小説がある。
オタク青年に作られた少女姿のアンドロイドが脱走して、あれこれ体験して成長するって
話だったが、そのなかにこんな感じのエピソードがあった。
ネットで、自分の同類と言える意思ある人工知能を見つけた彼女は、彼をアンドロイドの
身体に収めるのだけど、目覚めた彼は、真っ先にパニックに陥る。
ネット世界と違って、現実世界は非常に雑多で大量の情報に満ちている。
はるか彼方を走る自動車から梢の葉がそよぐ音まで、知覚できるありとあらゆる事象を
処理しようとした彼は、当然ながら混乱する。
そんな彼に彼女は、動かないものや遠くにあって近づいてこないものには
注意を払わなくてもいい、といった具体的なアドバイスをして、必要な情報だけを
拾い出す方法を教える。

これはきっと、人間誰もがやっていることじゃないかと思う。
無意識に、自分に処理可能な情報量を計算して、外界にあふれている情報から処理しきれる
範囲の情報だけを抽出する。
普段は、オートフォーカスか瞳孔反応みたいな不随意筋がこの作業を担当していて、
情報量が処理能力を大幅に上回るなら、明るい場所の猫の瞳孔のように絞りをきつくして
入力を減らし、逆に少なくなれば絞りをゆるめて、情報が多めに入るよう調整する。
私の場合も、情報量が格段に減っても、オートフォーカスが勝手に調節をして、
これまではじいていた情報を入れてくれたので、結局、処理する情報量はあまり
違わなかったのだと思う。

かくも便利なオートフォーカスだけれど、決して万能ではない。
時折、退屈を感じる。また、処理しても残作業が一向に減らないと感じることもある。
退屈と感じるのなら絞りがきつすぎるということだし、
処理したいものが多すぎて手がまわらないと感じるのなら、
絞りが甘くて、キャパシティ以上の情報を拾ってしまっている可能性がある。
山積みになっている何もかもが本当に全部必要な場合ももちろんあるけど、
手動で絞りを調節して、もう一回価値判断をしてみると、要らない物がかなりの割合で
含まれていることが、実は多い。
つまらないと感じた時に手動で絞りを甘くすることもあるが、こちらはひとつ間違えると
箸にも棒にもかからないものをお玉ですくっているような塩梅になる。
手動で最適を出すのは、やはり相当の訓練が要る。
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2008/5/22  12:31 | 投稿者: 時鳥

異体字等、文字化けの可能性があるため、通常投稿では削除される文字を入力する方法。
ただし携帯では見えないらしい。

例:「栁」

1.文字コード表を起動
アクセサリ→システムツール→文字コード表

2.該当文字の検索
フォント:「MS Pゴシック」
グループ:「部首による入力」
部首を選択し、一覧から該当文字を選択。
下部に「U+6801:CJK Unified Ideograph」と表示される。

3.関数電卓起動
アクセサリ→電卓を起動。
関数電卓モード、ラジオボタンは「16進」を選択。
(関数電卓への切り替え:メニューバー→表示→関数電卓)

4.コード算出
6801と入力し、ラジオボタン「10進」を選択。26625を得る。

5.入力
「&26625;」と入力すると、「栁」と表示される。
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