以前の記事で,Yリンク・タキシード・ネオンテールのタキシードが飛んでしまったモザイク崩れをご紹介しました.その表現形をまとめますと,オスの体側に多色の大まかな斑紋,腹部(腹鰭・尻鰭の付け根)に明瞭な黒班,尾筒の背中側半分に黒発色,背びれは色つきでゆるい斑紋があり,尾びれは角がとれたロングテールで汚らしい黒班がまばらに散る....,というところで,尾筒の黒発色と背びれおよび尾びれの地色と黒班はオスとほぼ同じです.
はたして,このYはどのような形質を持つものとなったのか,ちょっとのぞいてみたくなり,掛け合わせをやってみました.Yリンクの各形質ができるだけ見えるように,それより下位となるであろう諸形質を持つXを合わせることとし,手持ちの中からノンカラードの不定形ショートテールとオレンジレーストライアングルのメスを使いました.
まずX(ショートテール)・Y(?)は:
次に,X(オレンジ・ロングテール)・Y(?)は:
おわかりですね.そう,同じです.つまり,メス(XX)が見せる背・尾鰭や尾筒の色合いを,このYだけで発現することができるのです.言い換えるとXとYに同じ形質が載っているのです.
で,時間を元に戻しますと,もともとこの系統は200円で売っていたグッピー病爆裂中のシンガポーリアン・ネオンタキシードのオスを下の系統(ジャパンブルー・レッドモザイク崩れ)のメスにかけ,その仔(オス)をもう一回メスにかけてXを揃えて作ったものです.
この交配の前からレッドモザイク崩れメスは上記と同様の背・尾鰭や尾筒の色合いをもっていたので,当時この形質群はXに載っていたのは確かです.
ここからは想像ということになります:
(案1)
全く異なる系統である私の手持ちのジャパンブルー・レッドモザイク崩れのメスのXと,お店に入荷した輸入ネオンタキシードのオスのYには同じような背・尾鰭や尾筒の色合いの形質がリンクしていた.まぁ,世間は狭いねぇ.
(案2)
「Yリンクタキシード・ネオンテール」の系統内交配をくり返し,最終的にタキシードが飛んでしまうまでの間に,メスのXの形質群がYに引っ越してきた.ここからはまた想像ですが,Xから「モザイク崩れ」形質が引っ越したときに,Yの「タキシード」を潰してしまったのではないでしょうか?
いずれにしても,Yリンクタキシードの消失によって「新しいYを手に入れた」と思った私の思惑はみごとに打ち砕かれてしまいました.XもYも同じ色じゃあ,役に立たねぇ〜.....

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