田舎,と書くと語弊があるなら,地方かね?
昔々というほどでもないが,熱帯魚本(単行本)が書店に数冊並んでいるのを見ることによる方法でしか情報を入手できない.ペット店の人の話は必ずしも説得力を感じるものばかりではない.という時期があった.老舗の出版社から月刊誌が刊行されていたが,近所の書店にはなかった.
少し後になって,マリンスポーツなんかで有名な出版社が月刊誌を刊行し,これはちょびっとだけペット店とか大型書店に並ぶことがあったので,見た.いやー田舎小僧には感動の本だったなぁ.....とはいえ,記事はアロワナ・プレコ・コリドラス・ディスカス・アフリカンシクリッド....わしが一番好きなgupのことはあまり載っていなかったっけ.....でもこれが唯一の情報源であり,単行本時代と比較すると「逐次刊行物」の迅速性には胸躍ったものだ.
時は過ぎ....いんたーねっつの時代.PC画面の向こう側の世界に情報はいくらでもあるように思える.わしのような引きこもり大人でも自分から情報発信もできる(誰も見ないだろうけどな).なんて幸福な時代だろう.今に生まれてきてよかった〜.
だが,人の欲望は限りなく,情報をいろいろ手にするようになったら....「画像も良いけどさ,やっぱ実物でしょ?ホンモノ見なきゃわかんねーよぉ!」というところに行き着くのであった.東京とか名古屋とか大阪とかさぁ,gup専門店とかあったり,著名なプロブリーダがおられたり,大きな愛好家団体があって競技会とか定期開催してたりすると,現物,しかも良品が見られるわけだ.たぶん.でも,地方となると,愛好家とかお友達などでよほどしっかりしたネットワークを構築しているような場合でもないと,なかなかホンモノを見るというわけにもいかないだろう.つまり,引きこもってひとりで魚の世話をして,ごくたまに魚を買いにペット店に行くだけでは,「浦島太郎」になるのも仕方ないのである.いや,昔と比べれば贅沢な願望であることはわかっているのだが....ネットでイロイロ見られるだけに,もう一歩踏み込んで....これ,実物はどんな感じなんだろう?って思うわけなのさぁ.
屋外青水の魚をちょいと掬った画像でモノを言うのはナニだが....Variegated longtailのなかで「モザイク」と呼ばれるものがある,というか,あるそうだ.で,とてもカラフルなのだそうだが....「黒とオレンジの2色だけじゃねぇ」って言われても「2色のしか見たことねぇよ」となるのである.そもそもそんな色柄のものってアジア系の魚だけで,国産モザイクなんてお目にかかったことない.国産系は....メタルモスコーってのを飼ったことあるのとオールドファッションモザイクという名のボロボロの魚を見たことがある....くらいかなぁ?で,どれもオレンジ(濃淡は少しあるけどな)と黒の塗り分けだった.こんな体験だけでは「黒に白い縁取り」とか「白とか黄色とか緑とか赤と黒」とか「いやいやそれは発色が弱いのだ」とか言われても,何のことやらさっぱりわからないのも無理はないだろう.やっぱまず実物を見てみたいよなぁ.
ネット上のデジタル画像で垂涎の的となるような魅力的なネタは多い.え〜と,著名なプロブリーダが生産しておられる商品はもちろんだが,それはわりと簡単に通販で買えるんだよな.だからほっとくとして,むしろ,コンテストブリーダの方々の手による「まっかっか」とか模様がメチャメチャ細かい「ギャラクシィ」とか深みのある濃い青緑の魚,等々には強い刺激を受ける.いずれも,デジタル画像でさえ凄味を感じるものばかりだ.あるいは,これとは全く異なるコンセプトで作り出される,胸鰭のとこまでまっ黒のシックな「モザイクタキシード」とか,尾筒まで黄色の「豹柄テール」とか,ン十年前にシンガポールで普通に作ってたのに似てるらしい「緑モザイク」とか,めちゃめちゃ尻尾が長くて尖ってる「ウィーンエメラルド」とか,デジタル画像だけでは質感が全然わからないくらいギラギラに全身オレンジ色の魚とか,プラチナと関係ない「ライアテール」とか,枚挙にキリがない.
わし自身が見たいのはもちろんだが,やっぱり今の「熱帯魚小僧」達には,デジタル画像だけじゃなくてホンモノを見せてやりたいと思うところである.そういう場が,より多く設けられることを望みたい....あ,でもわしのような引きこもり熱帯魚小僧はそういうところにも出かけないかもなぁ.....
なお,私見で申し訳ないが,蛇足は承知の上で一言だけ付け加えると,わしはネット通販についてはオッケーなのだが,あの「ネット・オークション」というのだけは生理的に受けつけない.自分自身イヤだし,人にも勧めない.まぁ甚だ個人的な理由なので,皆様はお好きにどうぞ.

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