イリデセンス,という名で呼ばれる魚たちがいる.皆様よくご存知のとおり,あの「花やん」さんの手により創られたタイプで,そのオスはYリンクで体側が様々な色彩を輝かせる.その発色はかなり遅く,若い時分には灰色ののっぺりした様子で,ゆっくりと発色が始まり,歳を経るに従ってその輝きを増す,という特徴を有する.
数年前にこれを譲っていただいたときには,赤っぽい風合いのショートテールを穿かせた系統であった.これはこれで,まぁなかなかに観賞価値の高いものではあったが,こういう魚を入手したときの命題としては,やはりひとまずは「シッポを作る」ことであろうなぁ,と思うものの,わしに「ファンシーグッピーを作れ」といっても無理な相談であって,それなりに短くて趣のある尾型が作れればなぁ....と思ったものである.
とりあえずYリンクなのでメスを充てればそれなりのシッポがすぐできるはずであって,テキトーに後代を作ってみたところ,体側に発色して,指折り数えることができる色種は9色にものぼった.
で,キレイな魚がすぐできると思っていたのだが,意外なところに思わぬクセを持っていたのであった.
Yリンクで「尾びれの背側が赤く発色して伸びる」というものが,イリドに相乗りしている.ふつう,尾型を支配するYリンク形質は弱くってXリンクに流されやすいものだと思うのだが,こいつは一味違う.上述のオリジナル赤尾でも,こちらで掛け合わせた中落ちテールでも,結構な割合でXリンク尾型がつぶされて赤いトップのリス尾が顔を出す.これがまただらしなく幅広で絶対に尖らない.その半面,長さは全然物足りない.なかなか良い色を呈するのにもったいないものだ.
これはたとえばXリンクコブラと組み合わせても消えない.背側が軽く伸びて赤く染まり,どうにも形が決まらない.
そうは言っても,何とかしたいものである.そこで,かなり性質の強いダブルソードのメスを準備して,イリドのオスをかけてみた.
え〜これでもトップがはみ出る?しかも太く短く.....う〜ん,この段階で既にこれでは「BLOG talk式イリデセンス・ダブルソード」なんてもう無理だなぁ.....
というわけで,この春から初めた新しい企画で,まだ仔の発色が始まったばかりなのに,既に敗北は一目瞭然という悲しい結末なのであった.
とりあえずこいつらは次世代まで採って,行く末くらいは見定めてから廃番にしよう....というガッカリ状態であった.....あぁ.

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