コードネーム・イブスキー
・・・・スキーっつ〜ても,東欧生まれなのではなく,指宿に行ったときにもらってきたので「いぶすきぃ」.
九州などの温泉の各地に野良gupがいるからといって,場所ごとに差があるわけではないから蒐集の対象にする価値は無いし,また,育種素材としての用途はきわめて限られているのだから,「だけん何や?」という話だが,わしとこのベッピーと並べた.
野生個体群ほどはないと思うが,野良でも個体群内に遺伝的な変異の幅を持っており,それが大規模に交り合って変異幅を保存した形で集団が維持されてゆく.たとえば,その中から拾い上げたわずかな個体を水槽で飼育・繁殖して作る集団が,野外の大きな集団と異なったものとなる....っつ〜のは容易におわかりいただけると思う.
だから,わしとこで何年も育っているベッピーは春木川由来であることは確かだが,川で泳ぐ,あの無数の魚達と同じものだとはいえないし,「リオ・ハルキの直系を保存してる」とか「別府の魚はこんな形質です」とか言って,わしのベッピーを人に見せるのは間違いだと思う.あくまでもわしが育てたわしだけのベッピーなのだ.
というわけで,上述のイブスキーも指宿に住む多種多様な魚達のうちのひとつの形であり,これから子,孫....と続けていくうちに,わし独自のイブスキーになってくれると思うのである.
というわけで,わしの手元にあるわずかな魚を並べて,別府と指宿をたいそうに語るのは,決して正しいものの考え方ではないのである.
で,ここまでを冷静沈着にアタマに叩き込んだうえで,あえて「非論理的な事」を書く.というか,書きたい.それは何かというと?
イブスキー....青いぜ!青いよね!!おぃみんな,青いぜ!!!ベッピーより蒼いんだぜ!!!!(ちょっと暴走気味)
別府のベッピーは川で掬ったときから「わ〜,黄色い〜」と思っていた.九州弁で「キナぃ」と言う.川で掬って自然光下で網の中を見たり,水槽で前から光を当てると,gupの皮膚は青く光るが,ベッピーは地が黄色いので「薄緑」に見える.実はその数年前に沖縄で野良を見たときに「へ〜,紺色かぁ」と思うほど青かった記憶があり,それだけ別府で「黄色なんだぁ!」と印象が強かったのだ.
で,イブスキーはこの色だったわけだ.沖縄のと同じ色だ.もちろん紅斑があって,尾筒端に黄色斑があって,黄・紅発色は普通に起こっているのだが,それでも地色が黒っぽくて,反射で青いのである.もし,別府の魚が普遍的に黄色いのなら,放流に使った魚達(あるいは後に混入した魚)が黄・紅系の商業品種だったのだろう.
いや〜,電車で温泉の旅をするだけでも,なかなか楽しませてくれる.九州は良いところだなぁ.

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