未明の台風(大嵐)で朝の電車が止まっていたが、昼になるとまぁ暑い暑い。「暑いと魚が弱る」と言っているばかりではナニなのであって、愛好家の皆様はお魚のために対策されておられることだろう。
まぁ、何はともあれ、お部屋を空調してそこに水槽を置く、というのが今風だろう。(コンクリートの都会は夜になっても冷えないので24時間空調のおうちもあるだろうから)そこに置いときゃ30℃越えなんてしないから魚も快適だ。
そういうご時世で、水槽を空調してない部屋に置いている場合....なぁんて想像はネタでしかないが、それでもあえて
「気休め」
として水槽の過剰昇温を少しでも回避することを考えてみる。ネタよ、ネタ。もちろん水槽用クーラーなんて使わないぞ(以下の数値や現象は、わしが構築した現場でのみ当てはまる状況であり、皆様のお手元の水槽の場合ではそれぞれ事情が異なることをご理解いただきたい)
わしの飼い方「プラケースに水が入っているだけ(水深 10 cm)」を想定する:
部屋の気温は30℃。水は静かで、魚が泳いだりすること等でわずかに水の動きがある程度。蓋は「網」で、水面から水が蒸発している。このときの平均的水温は気温より2℃も低い(実測値は-2.4℃)。さすがに気化熱の大きさを実感する。
さて、ここでさらに積極的にファンの風をぶち当てて「冷やしてる」感をアピールする:
水面付近の風速は0.5 m/sのそよ風(たぶん小さめのファンではこのくらいまでしか出力が無いと思われる)。水面は細かく波立ち、いかにも冷やしている。ところが、このときの水温は止水と比べて低いかな....と思ったが、いやいやほとんど変わらないような?ちょっと良いセンサを持ち出して注意深く計測した結果、止水より0.3℃低いということが判明した。そんなもん?
水面で空気のマスフローが大きいことは蒸発の促進(=冷却)に大いに貢献しているのは間違いないはずである。おそらく、蒸発により冷やされるのは水と空気の境界で、水面近傍の水が冷えて対流する分は良いのだが、同時に冷えた空気をすっ飛ばしてしまうのでその分が非効率なのであろう。
ファンによる気化熱で冷やす....が(冷えるのは冷えてるんだが意外に)期待外れだったところで、実に古典的な「エアポンプでブクブク」をやってみた。そもそも、水温が高いときには
1)空気(酸素)の溶解度が小さくなる
2)魚の代謝が大きいために酸素要求度が高くなる
3)ついでに水中の微生物の酸素消費が活発だ
というわけで「酸欠」の心配があり、それゆえに古くから「夏はしっかりエアレーション」と言われてきた。これが、ちょっとばかり「冷却」にも貢献すると考えられるのである:
エアポンプ(流量1.5 L/min)が室内の乾燥した空気を取り込んで水槽の水にボコボコっと泡を作る。前述のやり方では蒸発面は水面だけだが、この場合は小さいながらも無数に発生する泡における「球の表面積」が蒸発面の大きさであり、水中の泡の中(の空気)で、水の気化による冷却効果が最大限に発揮される。泡の浮き上がりによる大きな動きで水が攪拌され、熱の移動も促される。結果として、ファン風を水面に当てたときよりも約1℃低い水温が観測できた。
とはいえ、エアポンプって稼働中にけっこう熱くなる。そのため、排出する空気も熱くなっているのではないだろうか?それを吹き込んだら熱くなるんとちゃうか?とも思ったので、念のため計測:
ずっと連続で稼働しているエアポンプ(流量 1.5 L/min)から出る空気の温度を排出口傍で測ると気温より3℃ほど高かった。でも、そこから樹脂のチューブで1〜2 mほど導いて水槽に入れるまでに、室温とほとんど変わらないレベルまで下がってきているようだった。たぶん普通に使っていれば、水温にはほとんど影響はないものと思われる。
というわけで、まとめてみると
1.気温30℃・空調していないので室内の空気の動きはほとんどありません....のとき
2.止水プラケースの水温は 気温ー2.4℃
3.止水プラケースにファン設置(風速 0.5 m/s) 気温ー2.7℃
4.プラケース水にエアレーション(流量 1.5 L/min) 気温-3.6℃
(数値が細かいけど、たぶん統計的にある程度は有意な差があると思う)
であった。これだけ見ると、わしとこでは「水面に風を当てるのに電気を使うくらいなら、エアポンプで強力にバコバコ・ブクブクしとけよ」と、増強エアレーション絶賛お勧め、の結果になったのであった。
と、ここで気づいたが、長い三角尾びれのオスを育てていて「がんがんエアレーション」したら水流で弱ったり大切なヒレが裂けちゃったりするのかなぁ?わしとこみたいに体躯が小さくて尾が短いgupでないと、これは使えないなぁ....というところで、いかにもBLOG talk的なオチがついたのであった。
やっぱり短尾も良いなぁ。

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