3年くらいかなぁ?手元で代々仔を採っている赤い魚について何気なく記事を書いたら、予想外なご意見等を頂戴することになり、とても恐縮した:
https://gray.ap.teacup.com/yochisblog/1113.html
元々、そんな強い志をもって始めたアレではなかったので、褒められるとちょっとこっぱずかしい。
というわけで、補足的にその続報を....。
【第一部 赤いコブラの夢】
gupという魚は Poecilia reticulata というくらいだから「色とりどりの網目模様の小魚」なんだろうなぁと思うところである。
ワイルドgupの網目模様といえばレースが思い起こされるが、何をもって真のレースとするかは何だかよくわからない。わしが持っている魚のなかに、コードネーム「花やんレース」(聞くところによるとコロンビア産のワイルドが持っていた模様が起源だとか)があり、ひょっとしたらこれがreticulataを代表するレース柄なのかもしれないと思っている。その他に、ジャパン・ブルーが最初に紹介されたときのワイルドフォームの魚が持っていた「背びれと尾筒端に細かい模様が浮き出る」というものも、軽めにレースっぽい。いずれもXリンクの白っぽい浅い発色で細かい模様が描かれ、色味についてはちょっと物足りないが、Yリンクのほうが頑張ると塗り潰されてレース柄は隠れてしまう傾向がある。
様々なgupオスの体側やヒレに呈示される色と柄のなかで、最も網目っぽいと断言できるのが「スネイクスキン」だ。ご存じのとおり、これは暗色の濃淡で形作られるもので、同時に紅などの発色を抑えるものが鮮明な網目模様を呈するということで高く評価されてきたせいか、通常のスネイクスキンは色味が乏しい。
そんなわけで、ここBLOG talkでは「赤いコブラ」があったらなぁというような世迷いごとをよく書いてきた。それは具体的イメージの無い空想であり、「地色が赤でその上にグレイの網目模様が載る」のか「野性体色の上に赤い網目模様が重なる」のか等、具体的な目標は無い。それを想起させるような実例も見たことは無いしなぁ。
【第二部 ベッピーシリーズのネタ切れ】
さて、それとはまったく別のアプローチ。BLOG talk恒例の野良グッピーの末裔ごっこ、から事は起こった。
わしが贔屓にしている大分県別府市の温泉地に住む野良gup:コードネーム「ベッピー」。手に入れた最初から結構長いこと「ただ持っているだけ」だった。野良gupは観賞用の育種には役に立たないと思っていた(以前の記事にもそう記していた)。その後、フルブラックを短尾にしようとしてレースやソードのメスにかけると尾は崩壊しても伸びて「短尾」はできなくて煮詰ったときに、ついでにと思ってベッピーの無地丸尾メスにフルブラック系交雑後代のオスをかけて作った魚が気に入って「ダース・ベッピー」というふざけた名前をつけてお披露目した。
次いで、フルレッドのオスも持ち出して無地丸尾メスにかけ、後代から「レッド・ホット・チリ・ベッピー」を作った。
そのあたりでそろそろネタ切れを迎えたのだった。
さて、ネタが無い中、(こういう発想はやっても成果につながる見込みは無さそうなので、あまりやらないほうが良いのだが)普通のgupもベッピー化してどうにかならないか?との苦し紛れ策。ネタにはレッドグラスのYを使った:
20世紀の芝目のグラスはもうちょっと落ち着いた色味だったような気がするが、21世紀に手に入れたブルーグラスの裏で出たレッドグラスの体側はかなり紅が過剰発現しているように見受けられた。この赤はYリンクなので、これをベッピー化しようと思ったわけである。予想としてはフルレッドとは違う風合いの真っ赤なベッピー。
※1 今にして思えば、こうして画像にしてみると、グラス体側の暗斑(ヘテロモルファ斑とかいうんだっけ?)に負けてしまうし、その他の黒い点や線の影響も強く受けるのがはっきりわかる。
で、グラスYを使ったベッピー、を作ったのだが、元の野良と比べてもとくにパッとしたところがない魚になってしまい、見事にハズレ。で、ここであっさりとベッピーをあきらめて、イロイロな短尾メスにこの後代のオスをかけて試して、そこでも良いものができず、その交雑集団の中から「ベッピーX・グラスY」らしいものを選び直して他を排除し、ベッピーに戻した。
※2 一度、いろんな系統を混ぜてから、また元に戻したことで、他系統からイロイロ飛んできたのかもしれない。
こうして出来上がった集団のオスは概ね体側が雑な紅の塗りつぶしになる。これをもって「グラスYベッピー」が確立された。ところが、その中から、いつの間にか「赤発色がぶつ切りになる」オスが現れていることに、今年になって気づいた。とくにタイガー体色にすると発色が壊れて紅が割れやすい。それを5月に記事にしたのだった。
前述の「赤いコブラ」で予想したのとは異なるアプローチだったが、紅の細かい模様にたどりついた瞬間....かな?
【第三部 赤い模様のその後】
その後代で今フルサイズのものはこんな感じ....。
なんだか最初の頃の魚よりずいぶんキモチ悪い色柄だが、ともかく紅発色のぶつ切りは細かくなった。
さて、この後、どうなってゆくのだろうか?育てているわしにもさっぱりわからない。発色が始まったばかりの仔では:
という風合いで、やっぱりタイガーのほうが紅がよく割れるらしい。ひょっとしたらもっと細かく複雑な柄になる可能性もゼロではなかろうが、紅の塗りつぶしになっていく傾向が強いような気もする。
とりあえず、どうなるかは魚に任せて、元気な仔を採り続けてみようと思う。
なお、コードネームは芝目のグラスのYリンクの赤色を使ったベッピー.... "grass-y beppy" ということで、grassyって「草生えるww」という意味で、「グラッシィ・ベッピー」。まぁ、駄洒落である。

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