既に10月で残暑という時期ではないが、日中は連日の30℃超え。いかに南国・九州島とはいえ、この高温傾向はあり得ないものだ。ずいぶん日が短くなって、趣ある秋の花々が咲くべき頃になってからの強い日差しで、弱っているものも多い。まぁコスモスなんかは暑さにも強いからまだましだが、バラとかシュウメイギクあたりは傷みが目立つものもある。
そんな昨今の九州界隈でも、もう少し時が過ぎれば冬がやってくる。さすがに降雪は減ったが、ちゃんと一桁℃の気温になる日もあるだろう(日数は減るだろうがな)。そうなると熱帯由来の鉢花なんかは屋内に取り込まなくちゃ枯れてしまうし、エスケープした熱帯魚も野外では死んでしまう。
ところが、九州をはじめ、各地の温泉地には温かい湧水があるとか温泉浴場からの温排水が流される等で、冬場に温度があまり下がらない川や池があり、そこでは熱帯魚が越冬できるのであった。そういうところは例外なく昭和の比較的早い時代に食用目的でティラピアが放流されており(なんかそういうのが流行ったことがある)、力強く定着しているし、これに併せて野良gupの姿を見ることができる。野良gupといえば観賞用の飼育個体の放逐に由来するものと思われがちだが、少なくとも九州の温泉地のいくつかについては、まずはティラピア魚苗に混じって放流されたものが定着し、熱帯魚が泳ぐ川として知られるようになり、それが「呼び水」となって観賞用gupを捨てに来るヒトが出てきた、という順番なんだろうなぁ....と、わしは推測している。
数カ所の温泉地の野良gupを実際に捕まえて比較してみると色柄やヒレ型のバリエーションが酷似しており、鑑賞用gupが持たない特殊な性質もとくに見出せず、愛好家の(三角尾びれ)gupの育種に役立つような素材にはなり得ないだろう。もちろん「ヘン〇イ」には使えるので、ここBLOG talkでよく紹介する大分県別府市の野良gup、あるいは鹿児島県指宿市のものについて、捕まえてきて育てていたことがあった。わしの手元には直系の者は既にいなくなってしまったがな。
で、同じ九州で、やはり著名な温泉地である大分県湯布院温泉に、有名な小さな池沼....う〜ん、やっぱり「湖」で良いかな?....「金鱗湖」があって、年平均水温30℃という小川からの流入があり、水底からも温度の高い湧水があるようで、下流への排水でも年平均水温20℃に達するそうだ。

[金鱗湖: 水が温かいので朝冷えのときに水上が白くなる]
水景の主役は、やはりティラピア。大きなオスが深場で縄張りを主張するところを湖畔からも見ることができるし、浅いところに若魚がたくさん集まって餌をねだる。
ここでも野良gupがたくさん泳いでいるが、水があまりキレイじゃないので上手く撮影できなかった。著名な観光スポットとしてよく管理されており、網とバケツを持って立ち入る場所ではない。
また、ここからの排水路となる下流河川には(冷たい)湧水の流入もあるらしく水温が急に下がって流速が速くてティラピアもgupも姿を確認することができないし、そもそも川岸はガサができるような雰囲気ではない。

[うんうん、ホタルは大切にしなくちゃね]
いちおう資料などで調べたかぎりでは、ここで泳いでいるgupは他の温泉地のgupと大差ないようで、このgupでできることは他所のgupでもできると思うので、(湯布院は何度か来ているが)無理してでも捕獲しようと思ったことは未だない。い、いや、負け惜しみじゃないっスよぉ....。
もしも九州界隈がもっと温かくなったら、比較的低温に強いこれらの魚達がどこでも越冬できるようになってしまうんだろうか、との心配もないわけではない。まぁ、気候変動にからめたノーベル物理学賞の話もあったし、近未来の気候は気になるところだが、冬はしっかり気温が下がって、熱帯から持ち込まれたヘンな外来生物は姿を消して、来春には(温帯域らしい種類の)キレイな花々が咲き乱れてほしいものである。
と、暑い暑い10月に、ふと思ったのであった。

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