2019/1/24

「どろろ」理科連想  
 福岡伸一先生の出世作の本「生物と無生物のあいだ」で、昔やってた研究で育てたノックアウトマウスの話が載っていましてん。
 ノックアウトマウスは「生まれつき遺伝子の機能の欠けたマウス」を人為的に作り出して、その欠けた部位が何の働きをしているか調べるという研究に使うのね、とてもざっくりだけど。
 遺伝子操作で正しく異常なマウスを作るのは大変らしくて、許可から研究から飼育まで大変な苦労をした挙句、やっと生まれたマウスなんだけど

 さあどんな疾患がでるか!と思って育ててみたら、マウスに病変は起こらずふつうに成長してしまったそうな。

 詳しく調べるとたしかに疾患はあったんだけど、マウスの体のその他の部位が欠けた力を補えるよう対応して、その個体が死なないように機能したためだったのだ!

 本にあった遺伝子の話とか狂牛病の病原体のプリオンがただの蛋白質なのになんでばいきんみたいに増えるのかとか、ものすご面白い話がてんこもりなんだけど、この「生まれつく状況に適応しようとやわらかく変化していく力」にものすご納得したんですわ。

 というのを、今年始まったアニメの「どろろ」を見ててぼんやり思い出しました。

 昔のまんがで読んだ時、芋虫のように生まれついた百鬼丸が死なずに生き続けたことよりも、妖怪を倒して体の部位を取り戻したときの「経験したことがあるかのような反応」にひっかかったのは、この感覚のせいかな〜とか…。

 それを今回のアニメだと、体の部位が最初に戻ったことを不審そうに戸惑うとか、どちらかというと怯え気味な百鬼丸のリアクションになってて、とても秀逸だなと思ったんだ。

 それはたぶんリメイクされるまでの約半世紀の間に、遺伝子や生化学の知見が広がり、脳科学や児童心理の理解が深まり「そんな環境におかれた人間がどんな反応や成長をしていくかを描きたい」熱がクリエイターの間で共有された結果なんじゃないかと思った次第。

 そもそもの原作が「人間の体と精神の尊厳を、天才の素養とか天賦の才にこだわる人と真逆の「どう生まれ付いたかよりいかにして生きていくか」に重点をおいてる」あたり白手塚の真骨頂のヒューマニズムてんこもりな筈なのに、描かれたアンチテーゼがイタいってだけで後足で砂かけられたのはとても理不尽であったことよ。(イタいのは認める、おたくはみんな大好き)
 2クールあるそうなので、この先とても楽しみにしています。
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