2021/1/10

繰り返しの言葉  
 前にSNSで、社会で負組と感じている男子を救済するために、女の子じゃなくておばさんが力を貸して欲しいって主張している人がいまして、それには山ほど突っ込み所があるんだけど(そもそも男性より女性の方が社会的地位が低い現状、収入や生活のために必要な労力や時間は女性の方が苦労が大きいので、更に他人の無料奉仕までできないとか。男性全体の下に女性がいるからすべての男子は人類の中で中の上っていう感覚はいいかげん捨ててとか。)

 この要求のキモは、男性社会の中のヒエラルキーの差別の大きさに囚われてる人にとって、女性全体がモブかモノ扱いになってしまってる点でした。
 それで思ったんだけど、今山ほどでている「異世界転生もの」で、攻撃的ではなく悪意もない善人(と本人が思っている)主人公たちが、異世界に転生するとその世界の女の子たちから慕われ愛されるって設定。
 面白い話はたくさんあるし、ゲーム風味の物語だから、ゲーム世代の人にとってはとっつきやすいファンタジーなんだろうなと思っていたんだけどな。

 でも最近はなんかじんわり怖い。

 現実の社会で性別のゲタをはいている自覚がなく「女性が(男性である)自分を無償でフォローしないのは理不尽で辛い」と思うような人が「突然の死によって幸せな世界に転生できて成功をおさめる」って物語をこんなにもたくさん、山のように摂取する状態ってぶっちゃけかなり怖くないか。
 ひらたく言うと「負けて成功しなかった人はこちらへ」って自死への道をおっぴろげていないか。

 比較するには重い話ではばかるんだけど、90年代の中頃に起きたルワンダ虐殺を連想しましてん。
 50万人から100万人ものツチ族とフツ族の穏健派が虐殺された件、当時は「もともと憎みあっていたツチ族とフツ族が決裂して内戦になった」と思い込んでいましてん。
 だけど、世紀をまたいで生き残りの人が語りはじめた話を聞くと、最初は部族なんて関係なく普通に同じ共同体で暮らしていたんだそうで。
 けどある時期から少数派のツチ族への憎悪をあおるラジオ放送が始まって、最初はどちらの人たちも「変な番組が始まったな」ぐらいの反応だったのが、民族憎悪の言葉をくり返し聞かされていくうちにだんだん社会の空気がおかしくなっていったって。
 多分いろんな理由はあったんだろう、でもそれでも数十万人の人たちが虐殺される程社会が壊れてしまう理由のひとつに、繰り返し放送されたレイシズムの言葉があったっての、まる無視しちゃいかんと思うのよ。

 異世界転生はご都合主義のナルシズムを土台に、まじめな知識やセンスで組み立てる話だから受けるのはわかるけれど、そんなにいつまでも続くものじゃないと思っていた。けど考えてみれば前述の女性搾取を素朴にjデフォと信じている層が厚くて、そういう人たちが社会で疎外されて厳しい生活をしている限り「ここではないどこか」に憧れる人たちは減る事はないのだな。
 楽しい物語をいきなり捨てろとはいわない、それはそれとして、自分の中にある差別の構造を考えてみて欲しいってことで、最初にあげた「おばさん搾取提案」の話は自覚的なとっかかりなような気がするですよ。
7

コメントを書く

名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ