ネコとヤギとアウグストゥス

2012/5/31 | 投稿者: ghost

エズからさらに西へ4Kmほど行ったラ=トゥルビという村に、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥス所縁の凄い遺跡があると聞いて行ってみた。

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<ネコのガイドさん付(ウソ)>

遺跡見学中、何故かずっとボクらに付きまとっていたネコと、一緒に見て回ることにする。

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<トロパエウム=アルピヌム@ラ=トゥルビ>

トロパエウム=アルピヌム、というのはラテン語で“アルプスのトロフィー”といったような意味になる。帝政ローマ初代皇帝アウグストゥスのアルプス征服を称えて、紀元6年に建てられた、と伝えられている。


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<大きさを示すために、ネコが座ってくれました(ウソ)>

紀元6年というと、アウグストゥスの地位が揺ぎ無いものとなり、実の息子がいなかったことから直接の世襲こそ叶わなかったものの、養子に迎えた第2代皇帝ティベリウスへの後継も確実となった時期にあたる。

思うにこの記念碑は、元老院にとってみれば、単にアウグストゥスのアルプスにおける戦勝を顕彰するのみのものではなく、新たに誕生した“ローマ皇帝”という概念を受容し、共和制ローマへの回帰を実のない回顧主義として放棄する、そういう政治的な意味合いも込めた宣言碑だったのではないだろうか。

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<元老院から皇帝に捧げる旨の、ラテン語の碑文が刻まれている>

この辺りの集落が、基本的には海からは直接見えない山陰にあることは既に述べた通りで、ラ=トゥルビの村落もその例外ではないのだが、この記念碑だけは、その威容を地中海へ向けて晒している。実際、ここから南を見下ろすと…

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<ガイドがネコからヤギに交代されました(ウソ)>

こんな景色が広がっている。あ、もちろんヤギはガイドではなくて、ここに(彼が立っているのはトロパエウムのある公園の柵の外の崖っぷちである)勝手に住んでいる野生のヤギ。ちなみに、ヤギの向こうに見えているのは、他ならぬモナコ公国である。

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<モナコにピントを合わせ写真も貼っておく>

ローマからガリア方面へ行き来する船は、例外なく現在のモナコの沖合いを通過したはずなので、このトロフィーが否応なく目に入ったことだろう。もちろん船上から前掲の碑文そのものは読めないにしても、船乗りも客も皆、あぁ、アレこそが我等の第一人者、ローマ軍団最高司令官にして最高神祇官、そして国家の父であるカエサル=アウグストゥスに捧げられたトロフィーか、と囁き合ったに違いない。そしてそのことこそが、かの碑文以上に“ローマ皇帝”の権威・権力を不動のものにしたのだ。

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<併設されたミュージアムにあるアウグストゥス像>

と、2,000年の時を越えた浪漫(まさに字義通りの“ロマン”である)に胸を熱くしたので御座いました。

まぁ、よりによって衆愚化した民主主義の限界に辟易としているボクらが、カエサルやアウグストゥスの物語に心酔するのは、いささか政治的に不健康な気がせんでもない。とか言うボクちゃん自身は、実は大政奉還主義者だったりするのだが。アホな国民がクソな政治家を無駄金使って選ぶよりゃ、ひょっとしてマシなんじゃね、という意味において。

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<ガイド役(ウソ)お疲れ様でした>



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