Approaching in heavy rain

2013/6/30 | 投稿者: ghost

前作では離陸決心速度V1をネタにしたのだが、本作はその対となる(いや、厳密には違うと思うが)着陸決心高度DH(滑走路面ではなく海抜を基準とする場合はDA)のネタ。


<Approaching in heavy rain>

直接的には、こちらの実写コックピット動画にインスパイアされて作ってみたくなった。機材にJALのディズニーランド30周年塗装機、通称“ハピネスエクスプレス”を塗ってデッチ上げたのは、特に深い意味はなくて単なる勢いだ。何気にBGMがミッキーマウスマーチのへっぽこアレンジになっている。

それはともかくとして、着陸決心高度なのである。


離陸決心速度は「離陸滑走中にこの速度を超えたら何が起ころうと離陸せねばならない速度」である。一方の着陸決心高度は「この高度を下回ったら何が起ころうとも着陸せねばならない高度」では、もちろんない。逆は必ずしも真ならず、である。

着陸しようとする…厳密に言えば、計器着陸装置を用いた精密進入によって着陸しようとする航空機は、ある一定の高度までは機械まかせで滑走路に向って行っても良いことになっている。と言うか、滑走路が目視できないコンディションであっても滑走路に正対し適切な降下率を維持して高度を下げて行くための仕掛けが計器着陸装置である。が、その一定の高度に達した時点で、主に目視でもって滑走路への安全進入可能性を確認し、着陸するか復航(ゴーアラウンド)するかを決心しなければならない。この高度が着陸決心高度である。

言い換えると、着陸決心高度は「この高度に降下するまでに安全に着陸できることを確認せねばならない高度」ということになる。たとえば、着陸決心高度まで降下したのに濃霧で滑走路の状態が把握できない場合、たとえ計器着陸装置が目前に滑走路があることを告げていたとしても、パイロットは復航をおこなわなければならない。ただし、CAT-IIIと呼ばれる超精密進入の場合、DHは0、つまり滑走路面そのものとされ、パイロットは計器着陸装置のみを信用して着陸していいことになっている。

実際のオペレーションでは、副操縦士または航空機の機械音声がまず着陸決心高度への接近を警告する。一般には“アプローチング ミニマム”とコールされる。続いて、着陸決心高度到達と同時に“ミニマム”がコールされ、間髪入れずに機長は着陸する(ランディング)か復航する(ゴーアラウンド)かをコールする、すなわち決心した事項を宣言する、という手順を踏む。

で、本作では、機長の“ランディング”宣言までは上記の通りであるが、元ネタ動画同様に滑走路端に強い雨が降っていて、突如視界が失われてしまう。前述したように、着陸決心高度は「この高度を下回ったら何が起ころうとも着陸せねばならない高度」ではないから、たとえ一旦ランディングを宣言した後であっても、安全に着陸できないかも知れない、と機長が判断すれば、決心を覆してゴーアラウンドが宣言される(これはたとえCAT-IIIでも同様である、つまり、計器よりも機長の判断が優先される、というか着陸決断の責任は常に機長にある)。

まぁ、そういうことを表現してみたくてこの動画を作ったのだが、こんだけ説明を書いていたら、全然動画で表現できてないじゃん、という気がしてきた。いや、これは動画の説明ではなくて、ボクの備忘録なのである、あくまでも。

で、言いたいことは飛行機の着陸手順ではなくて、ボクはこの一連の手順を、なぜそうしているのか、ということも含めて、学校教育とかに取り入れるべきだと思っている、というのが、突飛ながら言いたかったことなのである。ここには、危機管理と意思決定のベストプラクティスがあり、そして、現在の教育にはそれが決定的に欠けている。

人生の離陸決心速度や着陸決心高度を見誤って、無駄に苦しんでいる人があまりに世の中に多過ぎるような気がするので、そういう教育が少なくない人を救えるように思うのだが、如何なものだろうか。



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