さて,一般愛好家が数限られたgup系統を所有し,育てるにあたって必要とされる知恵や技術とはどれほどのものか....と考えると,gupを楽しむのに必要なコトってそんなに多くない,難しくない,gupとは簡単に育てられる観賞魚である........ということになっているはずで........もちろんそういうわけには行かないのだが....とりあえず,わしは「gupをできるだけ簡単に飼う」というコンセプトで「道具・水・給餌・病気対策・繁殖」に取り組んでいる.ただし,仕事柄「実験生物を虐待しない」ということだけは徹底的に追求しているつもりである.
で,「交配術の勉強」とか「遺伝は難しい」と仰る愛好家はたくさんおられるようだ.それには同意見である.だけど,あたりまえのことだが,仔を採って大きくするだけなら「仔は親に似る」ってことでOKだろう.良質の種親を入手して,その仔を採って,良い仔を残す.どの仔を選ぶかは「カラダで覚える(長年かけて経験的に身につける)」ことだと思うところである.飼育技術と同じで,本を読んだだけとか,アタマで考えるだけでは,豊富な経験には勝てっこない.
まぁ,リボンやスワローのような「出物」(=発現個体が繁殖に使えないので同系ノーマル鰭個体を援用して繁殖させる)を扱う場合,あるいはやむを得ず系統間交配を行う場合は:
@「かけ合わせて,採れた同胎のメス・オスをさらにかけたら,孫に複数タイプが出てくる」という(常染色体リンクの)形質
A「掛け合わせたら,仔にいきなり出現してくる」カァチャン譲り(Xリンク)あるいはトゥチャン譲り(Yリンク)の形質
このふたつの形質を操ることになるが,それもベースは子供の頃に学校で習った(あ,ゆとり教育では出てこないのかな?)古典的な遺伝様式を援用してくるだけで事足りる.あとは各論であって,それぞれ個人の場合に合わせて経験して覚えてゆくもので,決して「gupを育てるにあたり,全ての飼い主が共通して習得しておかなくてはならない必須科目=遺伝」があるわけではないだろう.その延長線上として,既にgupの世界にある様々な事例については,高い技術を持つプロブリーダの方々や,多くの熱心な愛好家の皆様が実際に手にとって調べ,本になったり,グループ会合やネット上でいろいろと議論されておられるわけだ.
とはいえ,世の中には「遺伝子」というニュースが満ち溢れ,マスメディアをとおして近代遺伝学・現代遺伝学の用語を目にする機会も多い.gupを知り,遺伝に趣味的関心を持つ愛好家の方なら,これらの情報にも知的好奇心がわくことであろう.このBlog Talkでそんな話ができたら,皆様の肥えた目にも留まるのであろう.でもなぁ,現代遺伝学の中の話は難しくてわしにはよくわからんし,わしの身の周りにあるgupのネタは,ほとんど「古典」だけでリーズナブルな説明ができてしまうので,そこまではできないなぁ.
というわけで,平凡な話題づくりに勤しむ日々である.
常染色体リンクで体色をコントロールする形質について,異なる座位にあるものを合わせる交配術として「ヴァイス」はよく知られているし,三重劣性の「スーパーホワイト」なんかも書籍やwebで見かける.だが,「
シルバークリーム」というのは,『タイガーとブラウ(Asian neon-blue)を揃えたもので,両方の色を混ぜたような発色」という文字説明はあるが,実物とか写真とかがなかなか見つからない.まぁ愛好家の皆様は良くご存知なのだろうが,わしは知らんかった.というわけで作る.わしのとこの
シルバークリーム坊やです:
ベースはオールドファッション・variegatedテールで,薄色ゴルトにネオンブルーをホモで揃えた合わせ技.まだ,幼い仔で,発色も始まったばかりなので,こんなの掲載してどうすんの,と思われるだろう.だが,わしとこの青系はネオンブルーの形質に「体が弱い」体質が強固に連鎖しており,これをホモで揃えると薄命になりがちだ.輸入ネオンタキシードを導入してからもう何年にもなるのだが,未だに体質改善に至っていない.この個体も今は元気だが,いつ感染症を発症するかわからないので,今のうちにアゲとく.大きくなれたらまた会おうね.
【追記】
「シルバー=タイガー・ブラウ」で「クリーム=ゴールデン・タイガー」なのだそうです.お詫びして訂正いたします.また,ふざけて英語とか独語をカタカナ表記していて自分で混乱し,コメント欄で間違えてしまい.皆様にご迷惑とお手数をおかけしてしまいまして,申し訳ありません.自戒を込めて下記の表でアタマを冷やそうと....これも間違ってたらもうたいへん....ということで,間違いありましたらご指摘いただきましたら幸いです.

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