古いgup本をめくると,尾びれの中央部あたりに薄紅と黒と反射青(あるいはメタリックグリーン)の少し大きめのスポットを呈する variegated タイプの魚が散見される.スポットが不明瞭で少し流れたような感じになるのが特徴である.模様が「ぬるい」っていうのかな?これは,古い古い学術本でXリンク(またはYリンク)のCaudal pigment (
Cp)という遺伝子を説明するときに用いられている図がこれにちょっと似ているが,この形質との関連について,わしは知らない.
その後,グラステールのような鮮明でシャープに広がる三角尾びれが台頭したせいか,書籍にこのような形質の写真が掲載されることはなくなった.そして後年導入されたオールドファッションファンテールというタイプには,同じような流れる模様の尾びれがついていた.ただし,当時の写真では基調となる色はとても鮮鋭な紺色で,決して「ぬるい」尾柄ではない(前述の形質とこの「ファンテール」との関連もわしは知らない).
まぁ,形質の相同性や関連性はともかく置いといて,今日「不鮮明に流れるぬるい尾びれ」の魚を見ることはできる.多色刷りの青いgupだ:
いわゆるネオンテールでもないのに「青い」尾びれは評価したいところだが,スポットがゆるいのと,背景が明るくて透過光が強く入る状況では色がとんでしまうので,しっかりセッティングした水草水槽とかでないと「メダカみたい」との印象をぬぐえない.色はパステル調でおとなしく,現在主流の赤青黄の鮮明な色合いにかなう術もない.
ちょっと使い古された言葉でいえば「勝ち組」ではない,というところだろう.でもまぁまぁ良いよね.

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